国内サッカー・それぞれの12.2~12.3

国内のサッカーシーンがクライマックスを迎えたこの週末。
多くのマスコミのニュースで報じられたのは浦和レッズとガンバ大阪の優勝を決する直接対決。そしてその浦和レッズの優勝でしょう。
でもそれと時を同じくして、この週末はそれぞれのチームがそれぞれの戦いを行っています。
Jリーグは最終節。それぞれのチームのそれぞれのリーグ最後の戦い。昇格・残留争い。
さらに全国地域リーグ決勝というJFL昇格を賭けたカテゴリーの戦いもありました。
この週末は、各地でいろんなドラマが生まれた週末でもあったと思います。


ありがとう、ジャーン!
さよならジャーン我がFC東京はアウェーで大分と対戦。
自分は東京のリーグ最後の戦いを見届けるべく、大分に行ってきました。
東京にとっては、苦しんだ今シーズンの締めくくりを勝利で飾り、天皇杯そして来期へいいイメージをもって繋げたい試合ってことのほかに、この時点で正式発表されたないものの、今シーズンで退団することになったジャーンのFC東京での最後の試合でもあったんですよ。
彼がFC東京に来て5年。DFとしてはもちろん、時にキャプテンマークを腕に巻くほどチームに欠かせない存在になったジャーン。すっかり日本にも馴染んで、日本語でギャグも言うほどの親近感で東京ファンから愛されている選手。
2004年のナビスコ決勝では、彼が退場になったことで「ジャーンのために」とチームがより結束しました。去年のマリノス戦でのルーズボールへの対応で、意図せず激突してしまった味方のルーカスが脳震盪で失神した時、ジャーンは自らを責めルーカスを案じる涙を流していた。そんな姿にも自分らFC東京サポーターは彼への愛憎を深めていったわけですよ。
そのジャーンの東京での最後の試合。やっぱり勝利で飾りたかった。
一方の大分にとってはホーム最終戦。
クラブの財政難と戦いながら、シャムスカ体制のもと降格の危機を回避し年々順位を上げてきていて、この試合に勝てば過去最高位にランクされて賞金を獲得できるってことで、きっと彼らにも期するものがあったでしょう。
その試合結果は1-0でFC東京が勝利!。
はるばる大分までやって来た自分ら東京サポーターは、試合後に涙しながらゴール裏にやって来たジャーンと惜別の気持ちの交換をしたのでした。
相手の大分も、敗戦と7位入賞は果たせなかった悔しさと、それでも8位と過去最高位を更新してシーズンを終えることに、彼らなりの思いがきっとあるでしょう。
昇格と降格の明暗
同時にこの日は、J1への自動昇格、J2への自動降格が決する日でもありました。
先に昇格を決めている横浜FCに続いて来期の昇格を決めたのは柏レイソル。1年ぶりのJ1復帰です。横浜FC、柏と最後まで昇格を争っていたヴィッセル神戸はこの日ベガルタ仙台に敗れたことで入替戦に回らなくてはいけなくなりました。
一方J2への降格を回避するJ1の残留争いは、この日川崎フロンターレに敗れたセレッソ大阪が自動降格に。セレッソは去年の優勝争いに続きまたも最終節で奈落の底に落ちるような結果になってしまいました。他方京都パープルサンガ、セレッソ大阪と最後まで残留争いをしていたアビスパ福岡はvヴァンフォーレ甲府と引き分けたことで入替戦へまわり、残留に望みをつなぐことになりました。この福岡とセレッソ大阪の勝ち点は同じ。明暗を分けたのはわずか得失点差2点です。
JFL昇格を賭けた全国地域リーグ決勝
TDK昇格大分トリニータとFC東京がリーグ最後の戦いを繰り広げている九州石油ドームのすぐ隣では、その下のカテゴリーJFLへの昇格を目指し、全国の地域リーグを勝ち抜き、決勝大会1次ラウンドを突破した4チームがここでもまたそれぞれの戦いを繰り広げていました。
12月1日(金)から3日(日)までの3日間にわたって、九石ドームに隣接するサッカー・ラグビー場で行われたこの全国地域リーグ決勝大会決勝ラウンド。
各地の地域リーグ代表によって争われた1次ラウンドを突破し、優勝とJFL昇格を賭けて戦ったのは東北リーグ代表のTDK(秋田)、東海リーグ代表のFC岐阜(岐阜)、中国リーグ代表のファジアーノ岡山(岡山)、九州リーグ代表のV・ファーレン長崎(長崎)の4チーム。
自分は大分に1泊して、大会3日目の2試合を見てきました。
TDKが優勝しJFLへ自動昇格。2位FC岐阜は入替戦へ
大会3目の第一試合はファジアーノ岡山対TDK。
前日めでで1位のTDKはこの試合に勝つと優勝と来期のJFL入りが決定する試合。結果は90分で1-1で決着がつかず、PKの末TDKが勝利しJFL昇格を決めました。
実は自分は郷里が秋田なんですよね。TDKは東北の社会人サッカー界ではその昔から強豪として名が通ってましたが、全国区のJFL昇格はやっぱり嬉しいもんです。郷里のチームの動向は気になるからね。
続く第二試合はV・ファーレン長崎対FC岐阜の戦い。その前の試合でTDKの優勝が決まっているため、こちらは2位で入替戦出場枠を獲得するための争い。
この2チームにはそれぞれ元FC東京の選手がいて、そういう意味でも気になる対戦でした。特に岐阜の小峯と伊藤(哲)のディフェンスラインは、そのまんま在りし日のFC東京のディフェンスラインだったから。
その試合結果は2-1でFC岐阜が勝利。JFL最下位のホンダロックとの入替戦への出場権を手にしました。
地域リーグには、将来のJリーグ入りを目指すチームも多く存在するんですよね。今回の4チームのうちTDKを除く3チームもそれを公言している。もちろんJ入りを目指すことを表明していないTDKの選手やサポーターにとっても、より上のステージでサッカーをすることは目標のはず。
ここでも選手たちは懸命に戦っていたし、それぞれの地域から会場に集まった各チームのサポーターたちは自分たちのチームを押し上げるべく声を上げていた。彼らにとってはこの試合こそが今年一番大事な試合だったはず。
試合後の会場では4シームの勝者と敗者に試合を見に来た地元大分のサポーター、居残って同じく試合を見つめていた自分ら東京のサポーターが入り混じって、コントラストを描いてました。
「Jのお荷物」と揶揄され、降格も経験した浦和レッズの優勝に、きっと埼スタと浦和の街は沸きかえったことでしょう。あと一歩で連覇に届かなかったガンバ大阪の選手とサポーターの帰りの足取りは、きっと重かったに違いない。
自分はFC東京のリーグのラストゲームの勝利と郷里のチームの昇格に喜びながらも、ジャーンの退団の現実をまだ消化しきれてないです。
一方で大分のホテルや駅の売店に並んでいた地元スポーツ紙の1面を飾っていたのは、福岡の自動降格回避、そしてV・ファーレン長崎のJFL昇格絶体絶命を報じるものでした(昨夜時点)。
さらにはJのユースの子たちは各地でJユースカップ決勝トーナメント2回戦を戦っていて(FC東京U-18は磐田ユースに5-0で勝利!)、U21の代表は今夜ドーハでのアジア大会シリア代表戦を戦う。
こうしてそれぞれの場所で、それぞれのサッカーの長い週末は過ぎていくんだね。

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